外伝10孫禄堂の「道芸」研究(15)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(15) 回縮勁(白鵞亮翅学) 回縮勁とは腕を回すことで自然に蓄勁が得られることをいう。太極拳には乱環訣があるが、それはこの回縮勁のことでもある。回縮勁は「用意」において行われる。腕を回すという意図的な動きを使うことで勁の蓄えがなされるわけである。この状態を孫禄堂は「自然穏住」とする。穏やかな状態にあるということで、この穏やかさが「綿綿」とされる状態であることはいうまでもあるまい。またこうした「環」の流れに乗せて勁が発せられる。これを「神秘」と『太極拳学』では評している。「心中虚静」「空空洞洞」とした境地のまま蓄勁、発勁が行われるところに太極拳の「神妙」があるが、それを実現させるのは回縮勁にある。