外伝10孫禄堂の「道芸」研究(5)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(5)
孫はカク為真が北京に滞在している時に太極拳の指導を受けたとされている。ごく短期間に学んだに過ぎない太極拳を長く名師に学んだ形意拳や八卦拳以上に重視しているが、それは『太極拳学』を読むと実に多くの洗髄の秘訣が述べられていることでも分かる。このことは太極拳というものが、肉体と感覚の統合を学ぶのにひじょうに適しているということでもあろう。孫の学んだカク家太極拳は武家太極拳の流れを汲むもので、呉家などとも共通している部分が多くある。それは武家も呉家も楊露禅が初めに教えていた套路であり、一般的に太極拳として認識されている行功ではなく、実戦に使いやすいように改めた套路であるためである。こうした套路は通常は砲捶と称される。太極拳では砲捶とはいわないで長拳であるとか快拳などと呼ばれている。