道徳武芸研究 原理主義としての程派八卦掌〜白玉才の場合〜
道徳武芸研究 原理主義としての程派八卦掌〜白玉才の場合〜 Youtubeで白玉才なる人物が居るのを知った。そこでは低い姿勢でひじょうに柔らかな八卦掌が、ゆっくりと演じられており、あたかも楊家の太極拳を見る思いであった。白玉才がおもしろいのは、これが程派八卦掌の原理的に到達するべき「極北の境地」ではないかと考えられるためである。白は八卦拳五代目にあたる。董海川から程廷華そして父親が程と昵懇であったという劉斌が三代目、劉は王文魁に技を伝え、王は白に教えを授けたのであった。今は白から二代を経た七代の時代となっている。こうして代を重ねることである派は他の拳術を取り入れて、その影響を受けることがあったのであり、またある派は純粋に程派の理論を深めて行ったのである。 白の八卦掌はかなり純粋に程派の理論を突き詰めて行っているようであり、練功は走圏を最も重視する。 具体的にはどうかと言えば、走圏転掌を「行トウ」としており、掌法も単換掌、双換掌、順勢掌を主として練るという。「行トウ」とするとは、ゆっくり歩く練法をとるということである。こうした練法は「原伝八卦掌」とされており程廷華の伝えた本来の形の八卦掌であるとされている。また原伝八卦掌は「トウ功八卦掌」とも称される。つまり程廷華の伝えた最も本来の形に近い八卦掌は攻防の形というより「トウ功」をベースとするものであったというわけである。ここでの秘訣として「鬆活円順、以走転為本(走転を以て本と為す)」が伝えられている。つまり「鬆」とは「腰鬆」のことで適切に走圏をして行くと「腰」が「鬆(やわらか)」になるとされているわけである。走圏で「腰鬆」が得られるのは構えをして円周上を歩くので腰にねじりが加わるからである。練習を積んで腰にねじりが生まれると、腰が沈んで姿勢が安定するようになる。八卦拳では「平起平落」の秘訣があり、これは一般的には足の裏を地面から平行に上げて、下げることとされているが、白玉才などの「腰鬆」を重視する系統では「走圏の時に頭が上下しないこと」とする理解も伝わっているようである。そして「腰鬆」を練ることで「綿綿不断」の動きが得られるという。「綿綿不断」は太極拳の秘訣で、動きが連なって途切れることのないことをいう。まさに白玉才の動きはこれをよく体現しているといえるのである。 こうした八卦掌を「トウ功」とする見方は、八卦掌...