第九十三話 簡易と簡化の太極拳(1)
第九十三話 簡易と簡化の太極拳(1) 太極拳の簡易式(37式)を考案したのは鄭曼青で、簡化太極拳(24式)を編んだのは李天驥である。ただし簡化は国家の制定拳ということになっているので一般的には個人の編纂という形では紹介されない。簡易式は鄭曼青が大陸時代に制定した。一方、簡化は人民共和国の成立以後の1956年とされている。日本で簡化を紹介したのは楊名時で国交が正常化される二年前の1970年であった。楊名時は空手の高段者だが、太極拳に関しては師承が不分明であるなど、後に国交が正常化されて大陸で簡化を学ぶ日本人が増えてくると、すでにカルチャーセンターを中心に全国展開をしていた楊名時の太極拳は批判されることもあった。