第三章 「純粋武術」の発見(4)
第三章 「 純粋武術 」の発見 (4) 攻撃と護身という矛盾したものをひとつのシステムとして取り込むことは可能であるのか。新陰流ではそれを武術の発展としてとらえようとした。つまり殺人剣から活人剣(活人刀)への展開である。これは武術から武道への歩みが武術のあるべき姿であるとする考え方にも見ることができる。上泉伊勢守が柳生石舟斎への課題とした「無刀」の位は護身の極みである相手と接触をしない境地をいうもので、争いの起こる前にそれを制してしまうことを理想とするのであるが、そうした矛盾をどのようにひとつのシステムとして展開するのか、その解決が石舟斎に託されたわけである。