外伝5蟷螂拳と蟷螂捕蝉式(6)
外伝5蟷螂拳と蟷螂捕蝉式(6)
小さな間合いの違いを使うのは通背拳で、腕を長く使うといっても、実際は3センチか5センチくらいの間合いの違いを作ることができるに過ぎない。動画サイトでも出ているが「実戦」を標榜する空手と中国武術の試合で、一人よく攻撃を当てることができているのは通背拳を使っている人物である。組手に熟達している人ほどミリ単位での間合いの見切りを行うことができるので、通背拳で少しでも間合いを遠く攻撃されてしまうと防ぐことが難しくなってしまうわけである。見切って「当たらない」と思うのであるから防ぎようがない。実は蟷螂拳はこうした間合いを狂わせる方法の宝庫(圏捶や補漏など)で、ひじょうに興味深いシステムである。