第三章 「純粋武術」の発見(1)
第三章 「純粋武術」の発見(1)
「純粋武術」こうした言葉が使われたことはないが、これは「最も合理的な動きは人の本来の動きに由来するものであろう」という考え方を前提としたものである。一方で通常の武術は人が攻防の中で得た「英知」を多くかつ深く習得することが最も合理的な攻防の動きを得ることであると考える。そしてそれは秘伝、奥義の技をもって極まることになる。秘伝、奥義の技は攻防において最も合理的な動きであるので、これは最も有効な技ということになる。しかし、こうした秘伝、奥義の技を習得していることで攻防において、必ずしも絶対的な優位に立てるわけでもないことは経験則として広く知られている。いうならば秘伝、奥義の技における優位性とは知識の優位性に他ならない。通常の爆弾と原子爆弾では原子爆弾が圧倒的に有利であるが、こうした知識の優位性は人体という限られたアイテムをも用いるだけの武術では限定されたものでしかない。もしロボットでの対戦であれば、これは知識の優位性は明確なのもとなろう。手足を鍛えたり、いろいろな運動能力を高めたりという発想はこうしたロボット的な傾向の下にあったとすることができるのであろう。