外伝4「起落翻攅」と形意五行拳(1)

 外伝4「起落翻攅」と形意五行拳(1)

形意拳の五行拳は単純な動きの套路であるが、実に味わいの深いものがある。それは五行拳が「中段の構え(子午トウ)」をベースとしているところにある。中段は上段へも下段へも変化が可能な構えであり、日本刀や槍、棍においても基本の構えは「中段」となる。変化のベースとしての「中段の構え」を原理的に推し進めて体系のすべてを構築しているのが形意拳なのである。そうであるから理論的には最も優れた体系であるということが可能であろう。同じく「中段の構え」を基本としている体系に八卦掌があるが、八卦掌では「中段の構え」だけに徹することはせず、これを横に変化させた。形意拳はこれまで見出されて来た攻防の原理に実に忠実に技法を構成しているのであるが、それはまたあまりに無味乾燥であるという問題点を生み出してしまった。そのため八卦掌を取り入れたり、いろいろな套路が考案されたりしたが、結局はそれらのすべては五行拳に還元され得るものであるし、五行拳の敷衍に過ぎないものであった。

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