道徳武芸研究 「合気」の実戦的展開について〜その矛盾と止揚〜(3)
道徳武芸研究 「合気」の実戦的展開について〜その矛盾と止揚〜(3)
一般的に合気道は「剣の間合い」と教えられるが、これは四方投げなどを見ればよく分かる。四方投げは剣を構えている時に両手を抑えられた時の技で、先ずは右足を引いて身体を開き、相手の足を裏から斬る。これで腕を離してくれれば良いが、執拗に離さない時にはそのまま転身をして投げるわけである。これを単に柔術的な技として捉えると、わざわざ転身をする意味が見いだせない。通常の柔術であれば、これは「腕搦(うでから)め」とされるもので、相手の腕を折りたたんで後ろに投げれば良いだけのことである。そうであるのにあえて危険の大きい転身(同時に転身をされると技が掛からなかったり、背の高い相手に強く引かれると体勢を崩される等の危険がある)をする必要性はないわけである。つまり剣術の裏技としての柔術とは攻撃技ではなく、相手の攻撃から離脱することを第一としているのである。つまり「合気」と「攻撃」は構造的に相容れないものなのであったのである。