第二章 感覚の伝授としての八卦拳・変架子と八卦掌(18)

 第二章 感覚の伝授としての八卦拳・変架子と八卦掌(18)

変架子が生まれるのは「天然の内功」による。「天然の内功」とは人が生まれながらに持っているもので、これを「性」と称する。また「先天真陽の一気」などともいう。これが開かれた時の動きを変架子と八卦拳では称する。太極拳の神明も同様である。太極拳では初めに武術的な心身の使い方を会得できた段階を「覚勁」、そしてそれが精妙なる段階に入ったら「トウ勁」と称するのであるが、最後の「神明」では攻防の力というより、間合い、呼吸のようなものつまり気機を会得することとなる。そうであるからこれは実際の攻防が発生する前に用いることもできる。相手が攻撃をしようとした時にその「気機」を知って対応をする。太極拳では「相手が動かなければこちらも動かない。相手が動けばその前にこちらは動いている」ことを理想とするが、相手が動こうと意識した時にこちらはその「気機」の変化をとらえて、相手より先に動き始める。この間合いを「神明」と称するわけである。

このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)