第六章 正座と四股と馬歩(17)

 第六章 正座と四股と馬歩(17)

馬歩による基本練習としては八極拳の冲捶があるが、これは八卦拳の挑打とほぼ同じ形であり、一歩踏み込んで馬歩となって中段に拳を打つ形となる。これは弓術などの「巻藁」と同じ鍛錬法で基本的な体の統一を得ることを目的としており、力のぶれをなくすことが求められる。また八極拳でも八卦拳でも、通常の攻防の間合いが一歩踏み込む間合いとするならば、これは一歩半の間合いを詰めることが可能となる。このほうに馬歩を攻防に使うことは相手に対して完全に横向になるので必ずしも有利とはいえないために多くは半身で相手と対する。八極拳や八卦拳でこうした一見して不合理な馬歩を攻防の基本とするのは間合いの問題があるからで、一歩半の間合いを詰めることができることにある。このため八極拳では冲捶を、八卦拳では挑打を特に重視するわけである。


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