外伝10孫禄堂の「道芸」研究(13)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(13)
鬆開(単鞭学)
『太極拳学』ではこれを「綿綿として存するが如し」とある老子の教えのことであるとする。孫家の単鞭は馬歩で掌を左右に開く。馬歩であるのは呉家と同様であるが、呉家では掌と釣手の形を残している。鄭曼青も単鞭を「開」としており、提手上勢(手揮琵琶)を「合」とする。いずれにしても単鞭は「開」の動きであることに変わりはない。鬆開はつまり「開」の動きであるのであるが、孫禄堂は両肩、両腿(股関節)を「鬆開」するという。そうすると「腹」が鬆開となり、気が下丹田へと鎮まることになる。こうした状態となると「柔」が開かれる。この状態を「綿綿」とする。鬆開は太極拳のあらゆる動作で行われていることであり、「綿綿」もすべてに通じるものであることは言うまでもあるまい。