外伝10孫禄堂の「道芸」研究(14)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(14)
一気貫串(提手上勢学)
これは太極拳の拳訣である「綿綿不断」と関係している。「綿綿」については前回に触れた。鬆開を得ることで「綿綿」が得られるのであるが、「不断」とは気の流れ、意識が途切れることのないことである。これを「一気貫串」と称する。孫家では単鞭の「開」から提手上勢の「合」に移ることで気を下丹田に鎮める。これは呉家も同様である。一方、楊家は両腕を上げて腰を引くことで気を鎮める。ここで孫禄堂は意図的に気を下丹田に押し込めようとする「圧力」を加えてはならないとする。「圧力」ではなく「神を以て貫注」するわけであり、これは形を繰り返すことによって、意識と動作が同調するようになると自然に気の集中が得られることをいっている。孫家は特に体の中心軸に気を集めるような形となるが、これは形意拳の束身に近いといえよう。