外伝10孫禄堂の「道芸」研究(7)

 外伝10孫禄堂の「道芸」研究(7)

高い教養を有して、武術にも深い興味を持っていた武禹襄の太極拳は太極拳理論をより純粋に深めて套路の改変を進めて行った。結果、独特の風格を有することとなるのであるが、これを孫禄堂はさらに簡易化している。興味深いことに呉家の太極拳も北京、上海、香港と変遷をしているが、しだいに動きが小さくなっているのである。これは家伝として幼い頃から太極拳を練っていると、小さな動きで体内の気の流れを自在に操ることができるようになったためであるが、こうして高度なレベルに達してしまった套路はとある程度おおきくなってから太極拳を始める人にとっては必ずしも学びやすいものではない。これに対して楊家では班候や小候といった小架を研究した名手も出たが、大架を捨てることがなかったので広く練習されている。初代の露禅は太極拳を知らない武術好きな人たちにはすぐに使える用法架を教えていたが、楊家ではプロデュース能力に長けた人が多かったことも楊家の太極拳が広がった要因であったようである。


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