第六章 正座と四股と馬歩(5)

 第六章 正座と四股と馬歩(5)

興味深いことに日本で人気のある中国武術の陳家太極拳や八極拳はいづれも四股のような動作を多く含んでいる。中国では陳家や八極拳はごく一部でしか練習されていない特殊な武術とすることができるであろう。北米などではブルース・リーの影響もあって詠春拳もかなり普及しているが、日本では驚く程、練習する人が少ない。一方、楊家の系統の太極拳は世界的な流行であるからこれが日本で広く練習されているのも時代的な要求とすることができるが、陳家と八極拳は特殊なのである。日本の文化受容は特殊な一面があって道教はついに大系だって伝えれれることはなかった。そうであるから教団道教が日本で広く信じられるようなこともなかった。鑑真が来日する時に道士を伴うことを拒否したことが苦難と渡航の始まりであったとされる。このように日本人は外国の文化を受け入れる時に意外にもかなりの選択を行っているのであり、そうしてみると「四股」をベースとする陳家や八極拳は日本における武術のいうならば「深層記憶」につながるものがあるのかもしれない。


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