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道竅談 李涵虚(103)第十二章 薬のレベル

道竅談 李涵虚(103)第十二章 薬のレベル 〈要点〉 西派では「薬」に三つのレベルがあるとしている。神仙道でいう「薬」とは心身の変容のポイントということである。これが三段階あるとしている。第一は「無から有を出す」もので、次は「有から無に入る」もの、そして最後は「無から有を産む」ものとする。最初の「無から有を出す」のは「後天の鉛火」の出現をいう。「鉛火」とは内的な「火」のことで、こうした内的な「火」は世界のあるゆる神秘行において重視されている。「鉛火」は腎にあるもので「腎の一陽」がそれであるとしており、つまり腎が活性化することで体内に熱を生じるようになる、この「熱」が「有」として出現するわけである。この内的な熱は実際の体温の上昇として現れるのであるが、これが内的か、外的かの区別は呼吸が乱れるかどうかにあるとする。呼吸が乱れることなく生ずる「熱」は内的なものとするのであるが、実際は呼吸が深くなっているということである。

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(15)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(15) 形意拳が八卦掌から取り入れた扣歩は、八卦掌では「縮身」と関係するが、形意拳では「束身」としてとらえられる。縮身と束身はどちらも溜めのための動きであるが、縮身では上下前後の変化を含むのに対して、束身では前後を主とするところが違っている。「龍形八卦掌」の換掌でもやはり束身的なニュアンスが強い。ちなみに太極拳ではこうした身法はとらない。呉家の退歩跨虎も縮や束を前提とするものではない。今回、見て来たように「龍形八卦掌」は八卦拳、形意拳、呉家太極拳などの要素を含んでいるのであるが、絶妙なバランスでそれらを配して、独特の八卦掌を構成しているといえる。

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(14)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(14) 形意拳の扣歩は八卦掌から取り入れられたものとされ、五行拳などでも見られるがそれは套路の方向を変えるだけのもののように考えられているが、実際はそうではない。劈拳なら劈拳を打った時にそれを受けられたら、更にそのまま打ち込む(硬打硬進)が形意拳の戦法であるのであるが、ただ押し込もうとしてもてきるものではない。そのために相手の前足を引っ掛けてバランスを崩すことで更なる打ち込みの機会を得ようとする。こうした時に扣歩が使われる。こうした「用法」が如実に示されているのが「龍形」の換掌となる。

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(13)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(13) 八卦拳において「投げ技」への展開は、あくまで扣歩、擺歩の変化としてそういったものもあり得るということに過ぎない。そうであるから八卦掌を、ただ単なる「投げ技」に限定的に応用しようとするのはシステム理論上からも適切とはいえないのである。またそうであるから八卦拳・八卦掌の「投げ技」は中国相撲の投げ技とはまったく入り方の違うものであることが認識されなければ「用法」としての「投げ技」は何ら意味のないものとなる。また「龍形八卦掌」で示されている換掌の方法は形意拳における扣歩の用法を示すものでもある。

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(12)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(12) 「龍形八卦掌」の換掌は八卦拳の八掌拳から形意拳の狸猫上樹の間に存するもので以下にそれらの「構造」を示してみよう。 八卦拳(扣ー動ー開ー後方へ) 呉家(扣ー止ー開ー後方へ) 龍形八卦掌(扣ー止ー合ー後方へ) 狸猫上樹(擺ー止ー合ー前方へ) 八卦掌にもとからあった「足を上げない扣歩」と形意拳の狸猫上樹の「足を上げての擺歩」をつなぐものとして呉家の退歩跨虎が取り入れられたのであろうが、これは本来の八卦拳・八掌拳の動きと「構造」上は変わらない。偶然にそうなったのか、何らかの情報があってそうなったのかを実証することは今はできないが、偶然とするにはあまにり出来すぎている。

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(11)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(11) 呉家の退歩跨虎で扣歩をとるのは後方へと転身をする(転身迎面掌)ためである。この流れは八卦拳の八掌拳と同じである。「龍形」でも、そのまま転身をしても流れとしては成立するが、それをしなかったのは形意拳の狸猫上樹の変化であるという意識があったためと思われる。「龍形」では扣歩から擺歩になるところで狸猫上樹の動きとなる。それは「龍形八卦掌」が根本的には形意拳の龍形拳をベースとしたものであり、またそこでは狸猫上樹が意識されなければならないものであったためと思われる。

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(10)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(10) また「龍形八卦掌」の動作を考える場合には呉家太極拳の退歩跨虎からの影響も見ておかなければならない。呉家でも片足をあげての扣歩が示されているからである。太極拳では退歩跨虎はその前の上歩七星と「ひとつの動き」と考える。 上歩七星(上歩ー合) 退歩跨虎(退歩ー開) となっており対の動作とされているわけである。ただ呉家では退歩跨虎ではただ一歩退くだけではなく体を横に転ずる動きを含ませる。これでは上歩七星と対とはならないと思われるかもしれないが、呉家では、 上歩七星(上歩ー合ー直) 退歩跨虎(退歩ー開ー横) ととらえて理論的に完全な「対」の関係としようとしているのである。