第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(15)
第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(15)
形意拳が八卦掌から取り入れた扣歩は、八卦掌では「縮身」と関係するが、形意拳では「束身」としてとらえられる。縮身と束身はどちらも溜めのための動きであるが、縮身では上下前後の変化を含むのに対して、束身では前後を主とするところが違っている。「龍形八卦掌」の換掌でもやはり束身的なニュアンスが強い。ちなみに太極拳ではこうした身法はとらない。呉家の退歩跨虎も縮や束を前提とするものではない。今回、見て来たように「龍形八卦掌」は八卦拳、形意拳、呉家太極拳などの要素を含んでいるのであるが、絶妙なバランスでそれらを配して、独特の八卦掌を構成しているといえる。