道徳武芸研究 合気破法としての阿弥陀定印(1)

 道徳武芸研究 合気破法としての阿弥陀定印(1)

阿弥陀定印とは阿弥陀如来が結んでいる手印のことで、親指と人差し指の先を触れさせて両手を重ねる形である。これは「定」印とあるように瞑想をするための印でもある。瞑想の印として禅などで知られているのは法界定印で、これは親指の先を触れ合わせる。そうすることで一定のテンションを保とうとしている。この時、両手の親指と掌とが楕円形を作るのが緊張と弛緩とのちょうど良いバランスのようで、インドなどの仏像や神像ではこうした印を組んでいる。一方、東南アジアなどでは、緊張が緩んで親指の先は離れてしまっている。日本でも、同じく親指が離れている場合が多く見受けられる。どうやら東南アジアや日本のような中国化した禅宗が広まった地域では、禅宗が道家的な思想に影響されているので、インドなどよりもリラックスの度合いの強い瞑想が実践されていたようである。また反対に日本では親指の先が上がって両手で三角の空間を作っている人も居る。これはかなり緊張して親指に力が入っている形である。日本の坐禅では姿勢を厳しく整えることが求められてたりするので、かなりの緊張を強いられている様子が伺える。ちなみ現在、ヨーガの瞑想で多用されている知恵印は阿弥陀定印を分けて膝の上あたりに置いている。膝の上に置くのは姿勢を保つのには便利で、坐禅のように手を部に置くと、どうしても姿勢が前傾して崩れやすい。そのために座布を用いて腰の位置を確保する必要がある。


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