道徳武芸研究 倭刀と苗刀〜照葉樹林文化論の周辺から〜(2)
道徳武芸研究 倭刀と苗刀〜照葉樹林文化論の周辺から〜(2)
苗刀が日本の陰流であることは明白であり、実際に倭寇から刀法を習ったことは『単刀法選』(程宗猷)にも記されている。また戚継光(『紀効新書』の著者)は1561年に「影流之目録」を得たとして、この年である辛酉を刀法の名とする。それが「辛酉刀法」である。こうした目録を得ているところからすれば、見て覚えた、といった程度ではなく、ある程度は正式に刀法を学んだ様子が伺える。しかし、目録の内容は仮名も交じっているので読めなかったようで、その内容についての解説は全くなされていない。また倭寇の刀法は二打、三打で勝負を極めてしまうとも賞されているが、これはまさに日本の刀法の特色をよく捉えているといえる。一般に中国刀は縦横無尽に振り回して相手を制するが、日本の刀法は上から切り下しで一気に相手を制してしまう。