道徳武芸研究 八卦掌の「定、活、変」(2)

 道徳武芸研究 八卦掌の「定、活、変」(2)

八卦掌では六十四卦から八卦、四象、両儀へと動きを還元させることで拳術における門派の壁を超越することができた、つまり優れた動きを八卦掌の動きとして取り入れることを可能としたわけなのであるが、一方で形意拳における八卦掌の取り入れ方はこれとは違っている。およそ八卦掌が世に広まったのは形意拳によるもので形意拳天津派の李存義、張兆東によるところが大きい。また北京の孫禄堂は主として書籍の出版を通して形意拳と八卦掌、太極拳の三派を並習する傾向を一気に加速した。形意拳家が八卦掌を取り入れる場合には三体式の変化としてそれを取り入れたのであった。そうであるから必ず基本の「半身の構え」が素になっている。この「半身の構え」は八卦拳でも含機歩として変化の基本の構えとされて重視している。形意拳に伝わる八卦掌では動きとしては弓歩や馬歩も存しているが、あたかも「含機歩」のみ(半身の構えの三体式のみ)のように認識されているのは、これが三体式を基本とするものであるからに他ならない。このように三体式が重視されるのは、これが変化の基本であるからである。最もこの構えを基本とするのは槍法であり、そのために槍は「武器の王」と称されるのである。ちなみに呉家太極拳も形意拳と同じ半身の構えが中心としているし、九九(双辺)太極拳でも呉家の影響によるものであるが、この構えを基本とし諸技法を組立てている。


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