道徳武芸研究 八卦掌の「定、活、変」(1)
道徳武芸研究 八卦掌の「定、活、変」(1)
八卦掌には定架子、活架子、変架子があるとされる。一般的な拳術は「基本」と「応用」で構成されているので、母拳と砲捶、死套路と活套路、小八極、大八極、歩法では定歩、活歩などに分けられる。これに八卦掌では「変」が加えられていることになる。ちなみに八卦掌では定架子で扣擺歩を練って基本的な力を養成し、活架子では八卦腿を学んで入身など実戦技法への展開を体得する。そして変架子では形意拳は太極拳などを学ぶのである。この段階では八卦掌を変化させて違う形にすることになる。こうしたことが可能となるのは八卦掌の構造による。八卦掌は両儀、四象、八卦(六十四卦)と展開されるが、この過程が「定架子」では扣歩と擺歩で「両儀」を練るものとされ、「活架子」では四肢を開くために、これを四象とする。つまり扣擺歩の両儀が四肢を開くことで四象へと展開されるわけである。ちなみに龍形八卦掌では定歩での鍛錬が「定架子」、活歩で練れば「活架子」となる(一般に知られているのは活架子の練法である)。さらにこれがいろいろな形に変化するのが「変架子」で、この段階で形意拳や太極拳を練ることが可能となるのであるが、それはあらゆる動きが扣擺歩と四肢の動きに還元されるからに他ならない。こうした考え方は八卦掌独特であり、八卦掌において他の拳術を取り入れる際の方法となるものであるが、これは古くは八卦拳で羅漢拳が取り入れられたという経緯がある。他にも高義盛の後天八卦六十四掌などはこの原則によっていろいろな拳術の優れた技法が取り入れられた。