道徳武芸研究 『八卦拳真伝』と千峯老人・趙避塵〜武術と静坐〜(4)

 道徳武芸研究 『八卦拳真伝』と千峯老人・趙避塵〜武術と静坐〜(4)

孫錫コンは『八卦拳真伝』で武術と静坐(道功)の関係について「道功は内功で、武術は外功ということができる」とし、道功だけで武術を知らな開ければ滞りなく身体を動かすことはできないとし、また武術だけで道功を修めることがなければ気血を円滑に巡らすことは難しいとしている。そして道功は武術の根本であるという。つまり気血が円滑に巡ることで身体もよく動かすことができるようになる、というわけである。そのベースとなっている考え方は「性」と「命」とを共に修するという趙避塵の教えに他ならない。つまり「性」は道功で「命」は武術である。これが性命双修であり、道家では古くから重視されて来ている。孫錫コンは趙避塵から秘宗拳を習ってはいないようであるが『性命法訣明指』には趙が師事した人物の中に劉雲普なる人物が居てよく武術を会得していたとされる。同書によれば大弟子の劉耕専はビジネスに従事し、二番弟子の趙は道学を教え、三番弟子の劉金耀は武術を、四番弟子の王子真は医療を生業としたとあり、その他の多くは武術をよく受け継いだとされている。こうして見ると必ずしも道功と武術とはセットになっているものではなかったことが分かる。


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