道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(9)

 道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(9)

よく知られている「三十六計逃げるにしかず」は『兵法三十六計』の最後に出てくる「走を上と為す(走為上)」から出ているのであるが、この「走」は八卦拳の最も重要な拳訣である「走を以て先とす(走為先)」の「走」と同じで意味である。中国語で「走」は「歩く」という意味なのであるが、八卦拳での「走」はただ円周上を歩くのではなく、合気道同様に入り身転換によって相手からの攻撃から逃れることを練るものなのである。よく、八卦「掌」の攻撃の方法が分からないので、投げ技の体系ではないかと誤解されているが、それは基本的に八卦拳・八卦掌が逃げることを主体としているので、攻撃技への展開が明確ではないことによる。そして「走」の基本は「走」つまり「入り身」によってなされるわけである。合気道でいう入り身「転換」は入り身「転身」とは違っていて、身体をターンさせる意味ではなく「相手の攻撃を別なものへと転換させる」「変質させる」ことを言っているわけで、それは相手の攻撃が攻撃としての意味を持たなくなることなのである。


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