道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(8)
道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(8)
「魂」の比礼振りの淵源が日本神話の蜂の比礼、蛇の比礼にあることは冒頭で指摘しているが、「魂」の比礼振りを考える場合に逸してはならないのは十種の神宝である。十種の神宝では蜂の比礼、蛇の比礼に加えて品物(くさぐさもの)の比礼がある。これは秘伝図によれば盾に比礼が付されたものが描かれている(詳しくは『植芝盛平と中世神道』参照)。つまり「魂」の比礼振りとは「品物の比礼」の働きをいうものであり鉄壁の盾としての防衛を示しているわけである。こうした考え方は日本の武術史の流れにも見ることができ、日本の武術では「柔(やわら)」として追究されたのであり、それが最も高いレベルで体系化されたのが柔術であった。それを近現代に更に昇華させたのが合気道である。そうであるから合気道は思想的には日本の武術の最先端にあるということができよう。