道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(1)

 道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(1)

「合気道は魂の比礼振(ひれぶ)りである」と言っていたのは植芝盛平である。この考え方は神話に出てくる蜂の比礼(はちのひれ)、蛇の比礼(おろちのひれ)から来ており、これを振って蜂や蛇の害から逃れえたとされている。ちなみに「比礼」はスカーフのようなもので、特殊な力の込められた布を振ることで大きな霊的な力が生じると考えられていたようなのである。こうした「振る」という行為は鎮魂に関係しており、その人の衣服などを振ることで、着ていた人の魂が活性化されると信じられていた。魂の比礼振りは「魂」を振ること、つまり合気道とは「魂を活性化させるもの」であることを示しているわけである。また盛平は「魂」の武道と「魄」の武道とを明確に分けており、合気道と大東流とは全く異なるシステムであるとしていた。つまり合気道は「魂」の武道であるとの認識を持っていたのである。しかし現在、多くの人は合気道を「魄」の武道として捉えている。ここに矛盾も生まれているようである。また「触れないで制する」ような技が生まれるのも合気道が「魂」の比礼振りであることに起因している。


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