道徳武芸研究 形意拳と合気〜束身と中心軸〜(1)
道徳武芸研究 形意拳と合気〜束身と中心軸〜(1)
形意拳では「束」身の秘訣がある。これは体の中心軸に力を溜める教えであり、次に一気に力を出す発勁の準備動作でもある。つまり束身は一種の発勁のための身法ということもできる。体の中心軸にエネルギーを集約させる働きが明確に示されているのが回身式で、両手の拳を合わせるような形となる。これで掴まれた腕を引き寄せて体勢を崩すわけである。同じように両手の拳を合わせて相手を引き付ける身法は呉家太極拳にもある。呉家においても、これは相手を引き付けて体勢を崩すことを目的としている。つまり「引力=合気」がそこには働いているわけである。同じく拳を用いて「合気」を行ったのが砂泊諴秀で、合気道では一般に掌を用いて相手を導くが、砂泊は拳でそれを行っていた。これは拳の方がやりやすいからである。形意拳や呉家太極拳で見出していたのと同じ「秘訣」を砂泊は体感として会得していたようである。