道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(4)
道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(4)
形式としては一霊の「直霊」の働きが四魂として展開されるということになる。この四魂においても「和魂、荒魂」「幸魂、奇魂」が対象の関係である。そして和魂と幸魂は秩序が保たれている日常(ケ)を表しており、荒魂、奇魂は混乱している非日常(ハレ)を示すものである。ただ神話ではこの四つが共に出てくることはない。大和系と思われる神話では「和魂、荒魂」が、出雲系では「幸魂、奇魂」が見られるのであり、これらは等しく「日常と非日常」「秩序と混乱」をいっている。古代の日本では日常が続くことで社会矛盾つまり穢が蓄積して行くと考えた。それを非日常の混乱状態に導くことで新たな秩序を構築しようとしていたわけである。この混乱というのは「祭」である。合気道でいうなら道場での稽古ということになろうか。こうした定期的な秩序回復のシステムが朝廷で儀礼化されたのが大祓であった。合気道を禊とするのは、こうした日常と非日常との関係において、非日常的な空間でかつては祓が行われていたことを想定してのことである。つまり合気道の稽古は非日常的な行為であるから「祓=禊」が可能であるとされるわけである(「祓」と「禊」は機能としては共に浄化を意味している。言い方が異なるのは時代や地域による差であろう)。