道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(3)

 道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(3)

一霊四魂三元八力は古神道家の本田親徳から出口王仁三郎を通して植芝盛平の知るところとなるのであるが一霊は直霊(なおひ)、四魂は和魂(にぎみたま)、荒魂(あらみたま)、幸魂(さちみたま)、奇魂(くしみたま)である。そして三元は剛体、柔体、流体で、八力は動、静、引、弛、凝、解、分、合とされている。この中で一霊四魂は神話に見ることができるが、三元八力は新しく考え出されたものである。植芝盛平はここに対照力を見ていた。そのために合気道の力のあり方を示すものとして一霊四魂三元八力が示されたのであった。対照力とは八力であれば「動、静」「引、弛」「凝、解」「分、合」のように対極にある力が互いに引き合い、反発し合う関係を持っているとする考え方で、これは全く太極拳の「太極」と同じである。対極にあるものが互いに円転して変化しているのが「太極」であり、そうした動きを促している力が「対照力」とされるわけである。そして対照力で重要なのは「引力」とする。「引力」はまた合気道の根本と教えられていた。また合気道を「禊(みそぎ)」とする教えも、一霊の直霊が「なおす」「なおる」という霊の働きであることと関係している。これは黄泉の国の穢を禊いだ伊邪那岐(いざなぎ)の神の行為の中で生まれている神直日の神(かんなおひのかみ)の働きをいうもので、穢を祓う働きがあるとされている。


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