道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(2)

 道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(2)

国家神道に「神道」を付すのは、それ以前の仏教系の両部神道や山王神道、儒教系統の垂加神道などと比べて不整合なのであり不適当なのであるが、また国学神道ともいわれる復古神道についても国学で見出そうとしたのは神道ではなく「神道」以前の「古道」であったことを考えなければならない(「古道」については第8回で改めて触れる)。国学ではこの太古の日本人の倫理観である「古道」から神道をはじめ政治システムなども含めたあらゆる文化が生まれたと考える。しかし平田篤胤は「古道」を神道として確立しようとする志向性を持っていた(神社を中心に国学を広めようとした)が、体系化には至らなかった。こうした方向性の影響の下に古神道も生まれてくるのである。しかし、そこには思想としては仏教、儒教、道教、キリスト教が、そして行法としては仏教や道教(導引)などが取り入れられて行った(ちなみに導引は近世に日本に入り文献を通して知られるようになっていた)。こうした動きは近代人の嗜好に合うものを作ろうしたためで、ただ供え物をして儀礼を行うだけでは全く不十分であったからである。「一霊四魂三元八力」も伝統的な神道そのままの考え方ではないことは充分に留意しておく必要があろう。


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