道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(1)

 道徳武芸研究 一霊四魂と三元八力〜合気道と古神道〜(1)

一霊四魂三元八力は、植芝盛平が合気道の力のあり方を説明する時に用いた概念であるが、これは古神道で作られたものである。古神道は近現代になって考案された神道で「古」がついているからと言って「古い神道」であるというわけではない。ただ古神道を唱える人は通常の「神社神道」以前の「本来の神道」というニュアンス(形式化した儀礼だけではない思想や行法をそなえている)で古神道を用いてはいる。古神道という言い方は国学神道を復古神道とするところから来ていると思われるが、復古神道という語は国家神道と同様に適切ではない。ちなみに国家神道は「宗教ではなく慣習儀礼」という立場なので、これに神道という宗教を表す語を付すのは好ましくないわけである。明治時代になって当初は神道の国教化を政府は考えたが、キリスト教を制限するわけにも対外的に行かないので、それは諦めて初詣のような慣習儀礼と位置付けたのであった。つまるところの目的が天皇を中心とするファシズム国家の建設にあったのであるから神道云々は問題ではなかったわけでもある。


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