道徳武芸研究 形意五行拳における「土」について(3)

 道徳武芸研究 形意五行拳における「土」について(3)

五行思想の「土」はあらゆるものの根源であり、生成の根本でもあったのであるが、これはまた「土用」のように季節の変わり目、つまり「変化」を示すものと理解されるようにもなった。春(木)から夏(火)の間、あるいは夏から秋(金)、秋から冬(水)の変化の間が土用(土)とされるのであって「火」から「金」へ土用にある丑の日はよく知られている。しかし「土用」の間に「丑」の日が巡って来るのは、その時だけではなくあらゆる季節においてそれは存している。現在の形意拳における横拳はこの場合の変化の方法としての「土」である。直線的な動きに丸い力の運用を加えることで途切れなく技を出して行こうとしているわけである。しかし、そうなると五行拳が「金、水、木、火、土」と生成の関係で構成されていることと合わなくなってしまう。五行相生では「土」は一定の形を持つが、「土用」のように形を持たない「変化」の意とはしない。そうなると五行相生は成り立たなくなり、形意行拳はシステム的な破綻を有することとなってしまう。


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