道徳武芸研究 形意五行拳における「土」について(1)
道徳武芸研究 形意五行拳における「土」について(1)
形意拳の母拳である五行拳は「金、水、木、火」から「土」へと移っている。これは五行の生成をいう五行相生の関係によって構成されているためである。しかし五行思想において「土」は根本であり、そこから全てが生まれるとされる。それは古代中国の自然観によるもので大地(土)の中に金属(金)が生まれる。これは全てに共通する考え方であるが「土」の中に「金」として物質化する要素が含まれいたと考えるのである。金属は空気中の水分が液化して水滴となることがあるので、それを見て金属には水が内包されているとするので金から水が生まれるとする。水を撒くと木(木)が生えてくる。それは水の中に木となる要素があるからである(土の中に種があったことは考えない!)。木は燃えるので火は木の中から生まれると考える。燃えた木は灰になって土に帰る。こうした循環する自然観が五行思想のベースをなしている。ただ形意拳で五行がいわれるようになったのは後のことで、本来は「老三拳」といわれるように三つの拳しかなかったのである。