道徳武芸研究 八極拳雑感「把子拳」と癩伝説(1)
道徳武芸研究 八極拳雑感「把子拳」と癩伝説(1)
八極拳を伝える馬家にそれをもたらしたのは「癩」という人物であるとされる。その名からすればこの人物はおそらくはハンセン病(癩病)にかかってたのではないかと思われる。ハンセン病は身体が崩れることもあって感染を恐れた村人から近所に住むことを拒否されるケースが多くあった。日本でも「一遍上人絵伝」には河原で白い布を巻いた人が何人か描かれている。こうした人はハンセン病の患者であるとされている。おそらくは「癩」姓の人物もそうして住んでいたところを追われたのではなかろうか。また本当の名前を言わなかったのも故郷や親族に迷惑がかかることを恐れたためと思われる。八極拳は元は「把子拳」と称されたとされ「指を曲げる形」の拳を用いたという。またハンセン病では末梢神経障害の麻痺により指の変形なども生じるとされている。これが「把子」の形の由来ではないかと考えられるわけである。