道徳武芸研究 「合気」の実戦的展開について〜その矛盾と止揚〜(13)
道徳武芸研究 「合気」の実戦的展開について〜その矛盾と止揚〜(13)
鶴山晃瑞が出していた「柔術」「合気柔術」「合気之術」の区分がおもしろいのは、これを柔術史の発展過程として見た場合である。つまり「柔」ということが技術として展開して行くプロセスをこれを通して見ることができるわけである。日本の武術で特に重視されるのは「力を使わない」という点である。現在では合気道や太極拳だけではなく空手や柔道などでも広く言われておりシステマが関心を持たれるのもそうした側面があるからであろう。ちなみに中国では「太極拳は力を使わない」という言い方は為されない。リラックス(放鬆)は強調されるが、それは「力み過ぎない」ということであって、太極拳には太極拳で要求される力があるとする。それが「勁」と称されるものである。「勁」は「そのシステムを運用するために必要な力」のことであるから、太極拳以外のシステムではまた違った力になる。太極拳では力を抜きすぎた状態を「惰(虚実が不分明である)」であるとか「空(中心軸が出来ていない)」であるとかの語(字訣)をして戒める。