道徳武芸研究 武術の流派名について考える(5)

 道徳武芸研究 武術の流派名について考える(5)

太極拳は陳長興の頃に陳家溝に伝えられた。これを学んだのが楊露禅である。一方、陳家溝には通臂拳の理論を独自に発達させた砲捶という武術があった。太極拳の動作に砲捶の理論を応用して作られたのが陳家太極拳である。そうであるから厳密に言えば陳家太極拳は「太極拳の源流」ではない。楊家の系統の呉家、武家などには太極拳の理論が継承されているが、陳家太極拳は陳家溝に伝わっていた砲捶の理論を応用している。陳家溝ではおそらく陳長興が編んだであろう陳家太極拳を太極拳として意識することはなく頭套拳などと称していたらしい。これは現在でも見られる一路、二路(砲捶)という分け方と同じである。頭套拳とは第一の拳という意味になる。また砲捶というのは一般的な名称でいろいろな武術の実戦形が砲捶と称されている。陳家溝の砲捶はその地域から外に出ることがなかったので、単に砲捶とだけ称されていたわけである。


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