道徳武芸研究 游身八卦連環掌と鎮魂法(1)
道徳武芸研究 游身八卦連環掌と鎮魂法(1)
八卦拳は筆頭弟子であった尹福が朝廷に仕えていたこともあり、民間には主として程廷華の系統が行われていた。そのため「游身八卦練環掌」といった名称が広く知られて、本来の「八卦拳」を知る人はかえって少なかった。ただ一部には「八卦拳」が本来の名称であることは認知されていて孫禄堂は程派の八卦掌を紹介しつつも『八卦拳』として著書を出しているし、孫錫コンも『八卦拳真伝』として程派の八卦掌を紹介している。孫禄堂や孫錫コンが共に「八卦拳」の名称にこだわったのは自分の著作が「真伝」を記したものであることを言わんとしてのことであった。つまり八卦掌の「真伝」を語ろうとする時には、それはあくまで「八卦拳」でなければならないことは、かつては周知のことであったのである。それはともかく八卦拳に「游身」や「連環」が付されるようになったのは、どうやら程廷華の頃のように思われるが、それにはどのような意図があってのことであったのであろうか。