道徳武芸研究 八卦拳と「輪」(2)

 道徳武芸研究 八卦拳と「輪」(2)

八卦拳において八卦は身体を分割する概念としてとらえられる。つまり両儀は上半身と下半身で、八卦拳では下半身は前を向いて、上半身は横を向く、これは基本姿勢であり、この両儀から八卦(拳)が始まるわけである。そして両儀は四象となる。両儀の「陽」は「陽陽」と「陰陽(陰から陽へ)」に分かれ、「陰」もまた「陰陰」と「陽陰(陽から陰へ)」に分かれる。そして四象のそれぞれが更に細分化されて八卦が得られることになる。つまり四象では「陽から陰」「陰から陽」への変化のみが示されていた(二段階の変化)のであるが、その間にも陰陽が入り(三段階の変化)、さらにその変化が細密に八卦として表現されるわけである。つまり「陽から陰」の間に陰陽が入るのであるから「陽(陽)陰」(兌卦)「「陽(陰)陰」(震卦)となり、「陰から陽」は「「陰(陽)陽」(巽卦)、「陰(陰)陽」(艮卦)となるわけである。また「陽」と「陰」も「陽陽陽」(乾卦)と「陰陰陰」(坤卦)、それに「陽から陽」「陰から陰」の変化もあるので、これが先の乾卦と坤卦の他に「陽(陰)陽」(離卦)「陰(陽)陰」(坎卦)も考えられて、あわせて八つの変化を得ることになる。このように八卦拳での八卦とは、身体を次第に細分化して行くことであったわけなのである。


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