宋常星『太上道徳経講義』(41ー15)
宋常星『太上道徳経講義』(41ー15)
大いなるものは窮まりがない。
「大いなる」人には、限りがない。内も外もないし、東西南北を限るようなこともない。四隅や上下を分けることもない。つまり「道」は無極であり、無限なのである。大いなる虚を包みこんでいて、天地もその中にある。そうであるから「大いなるものは窮まりがない」とされている。これは聖人を例えているのであって聖人はなんのこだわりもなく、なんの執着もない。心は限りなく広く、小さく限るようなものは存しない。こうしたものが「大いなる」ものなのである。
〈奥義伝開〉「大いなるもの」とは限りないもの、ということである。以下、四つは「大」に関する「格言」が続いているが、次の「大器晩成」を除いては大小の「大」ではなく、限りない「大」なるものということで、それは第十八章の「大道」や第二十五章の「道大、天大、地大、王大」と同じ「道」と等しいものとしての「大」なのである。「格言」は論理学的なアプローチで真に「大」なるものは限定のないものであるとする。限定があればどれ程、大きくても、それ以上のものが出現する可能性があるので、小さなものとなる可能性があるが、無限定の大きさであれば比較を超越しているので、それは永遠に「大」なるものであるということである。