宋常星『太上道徳経講義』(41ー14)

 宋常星『太上道徳経講義』(41ー14)

真を質(ただ)すは改むるが如し。

本当に誠実な人は、見かけは素朴であるが、思いやりの深い心を持っている。生まれつきそうなのであり、他人にそうしたことを知られるのを望まない。高潔な人とされることも良しとしない。ただの人のように見えるので「改められなければならない」ことがあるように思われてしまう。それは汗が出れば染みができるように当然のことであり、まったく窪地は暗いのと同じく当たり前であろう。そうであるから「真を質(ただ)すは改むるが如し」とされている。


〈奥義伝開〉余りに真実を追究し過ぎると本質を見失ってしまう、ということである。何のために真実を求めているのか、それをよく考えていなければならない。自分の身を守るために武術はあるのであるが、それも鍛錬をし過ぎると身体を壊すしてしまう。自分の命を守るための修練がかえって寿命を縮めることにもなる。これが本来の意味である。老子は「道」を規定しようとする行為への注意喚起と捉えていよう。つまり「道」を仁であるとか、愛あるいは、縁起や空などとしてしまうと「道」の本質を見失ってしまうのである。


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