宋常星『太上道徳経講義』(41ー9)
宋常星『太上道徳経講義』(41ー9)
「道」は希(まれ)であると共に類するものもある。
通常はあり得ないただ平らかな変化のない道を行くようなことを「希(まれ)」とする。同じようなものというのが「類するもの」である。唯一の「道」を知る人は、それを口に出して説明することはできない。それと同時に特別な行動をすることもない。まったく平凡で、貴賤賢愚も存することはなく、それはただ一つなのである。上下高低もなく、動静や吸う息、吐く息などの別もない。もし「道」が一定したものであって、他の人と同じものとして歩まれるのであったならば、そこには前を進んでいる人も居れば、後を歩んでいる人も居ることになろう。しかし「道」はそうしたものではない。そうであるから「『道』は希(まれ)であると共に類するものもある」とされている。
〈奥義伝開〉ここでは「希」と「類」が挙げられている。「道」とはただ合理的な法則のことということなのである(希)が、その具体的な現れは多岐にわたる(類)ということである。「道」の原理的なところを見れば「希」となるし、応用としての働きを見れば「類」するものが多くあるわけである。しかし、究極的には「道」は「道」であってそれ以外ではない。また「希」と「類」は個人は個人として活かされ、また共生も可能であるとする「道」の特性を言うものでもある。