道徳武芸研究 なぜ形は実戦に使えないのか(1)

 道徳武芸研究 なぜ形は実戦に使えないのか(1)

中国武術などの形の稽古を中心とするシステムにおいては「なぜ形は実戦に使えないのか」という疑問が持たれることが少なくないようである。これについては「そもそも形はそのまま実戦に使うべきものではない」のであるから、そうした疑問自体が誤りということにはなるのであるが、そうした疑問が根強くあるのは、どのような原因があるのかについて今回は考察をしてみたいと考えている。本来的に形は実戦での動きを抽象化してできたものであり、それを通していろいろな学びができるようになっている。つまり「教科書」的なものなのである。いろいろな運動において基礎体力をつけるのに重視されているランニングや腕立て伏せは、それがそのまま競技(実戦)に使えるのか、などと考えられることはあるまい。そうであるなら実戦への基礎となる技術を学ぶ形がそのままで実戦に使えない、ことへの疑問も存在し得ないわけなのである。また一方で「現代武道の形は使える」とする誤解もある。こうしたことは形というものそのものへの理解の不足から生まれている。


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