道徳武芸研究 武田惣角から学ぶ「合気」のトリセツ(3)

 道徳武芸研究 武田惣角から学ぶ「合気」のトリセツ(3)

武田惣角のような巡回指導は江戸時代の終わりあたりからは特に盛んになっていたようであるが、松尾芭蕉の『奥の細道』なども巡回指導の記録である。生産性が上がって地方でも豪農、豪商とされる層が形成されて行き、こうした人々の生活の余裕が文芸を学んだり、武術や絵画、算術などの学びを促進させたのであった。また武田惣角は指導記録として「英名録」なる冊子を持って教えた相手にはその名を記させていたが、本来「英名録」とは有名な武術などの師範の名簿(道場案内)で、例えば武術に興味があれば、それを見て有名な師範に弟子入をするわけで、こうした本は幕末あたりには多く出版されている。惣角の「英名録」は多少、こうした本来のものとは異なるが、各地のある程度、地位のある人物の名を記した多くの指導経験がある証でもあった。巡回指導で初めての相手に教えるには一定の説得力があったものと思われる。それはともかく、合気が掛かりそうな相手を選んで掛けて、何日かすればその相手から離れてしまう。こうすることで過度な合気の掛かることを適度に制御することが可能となったわけで、こうすることで自分の技の実際を見失わないで居ることができたわけである。


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