道徳武芸研究 神道秘儀としての八卦拳(4)
道徳武芸研究 神道秘儀としての八卦拳(4)
平田篤胤は「神話」は世界に普遍的に存していたのであり、人の代になってそれぞれの歴史が始まったとする。そうであるから世界の神話には共通する部分が多く見られることを指摘して、その中で日本の神話が最も正しい伝えを残しているとする。日本の神話云々は、ここだけが拾われて後に軍国主義の時代に侵略戦争を正統化するために利用されるのであるが、篤胤は「神話」は世界に共通のものであることを前提としていたことは無視された。近代以降の平田国学も陽明学も正しい解釈からは程遠いものであった。それはともかく神話が世界に共通していることは、ユングによって「元型」として提示された。人類には共通した考え方、認識の方法があるというわけである。つまり「柱を巡る」ということがインド、中国、日本で見られるのはそれが意識の深いところにある認識パターンである「元型」に近いものであるということになるわけで、八卦拳は人類共通の深い意識のレベルから生み出されたものであることが分かるわけである。