道徳武芸研究 ハプキドーとあいきどう〜合気道の変容〜(4)
道徳武芸研究 ハプキドーとあいきどう〜合気道の変容〜(4)
韓国のハプキドーは柔術(真捨て身技と関節技が主体)に蹴り突きを取り入れたもので、これに欠けたものとして、突きや蹴りを導入している。同様の動きは日本でも近代以降は高まっていて、嘉納治五郎も空手を研究して「五方当」を編んだりもしている。空手では和道流が投げを取り入れようとした。そして戦後には日本少林寺拳法が考案されることになる。少林寺拳法も不遷流がベースになっているとされるが、基本的な技法の中に柔術の特色を色濃く残している。他には初見義昭の「忍術」からも、近代以前の柔術の姿を伺うことができる。かつての柔術師範は武田惣角のように各地を回って教えを授けていた。これは和歌や和算、占い、絵画などでも共通して見られたことであった。今でも各地の公民館を回って芸を披露している芸人や劇団は少なくない。これらは旅をして歩いていたかつての芸人の姿を留めているといえよう。ハプキドーの他にも海外では現在の日本で滅んでしまった武術の伝承を残しているものの存する可能性があるようである。実際にハワイには日系の移住者の伝えた武術を教えているところもあるようである。こうした中には沖縄の古い「唐手」を知ることのできる手がかりもあるかもしれないと考えている。