道徳武芸研究 ハプキドーとあいきどう〜合気道の変容〜(1)
道徳武芸研究 ハプキドーとあいきどう〜合気道の変容〜(1)
現在、合気道は第三世代に中核が移りつつある。第一世代は植芝盛平から直接に教えを受けた弟子が中心であった。そして第二世代も少なからざる孫弟子が盛平の演武を見ていた。そして第三世代においては盛平の姿を知らない人がほとんどとなっている。たとえ親が合気道の指導者や弟子であったりして、盛平の演武を「見た」としても、それはごく幼少期の「経験」であって、武術的な視点からそれを見て何かを学び得るものではなかったであろうと思われる。これは合気道に限ることではないが、第三世代あたりになると創始者の「雰囲気」が分からなくなってしまうことが往々にしてある。そして、それが革新的なものであればある程、「普通」のものへと退化してしまう危険をはらんでいるともいえる。一方で「普通」にならなったものは、多くの人の支持を得ることなく消えてしまうことが多い。こうして創始者のもたらした「革新」はその組織により「普通」と化し、「革新」はそれとは別のところで受け継がれて行くことになる。