道徳武芸研究 易と太極拳(8)

 道徳武芸研究 易と太極拳(8)

本来「静」をベースとする太極拳は、陳キンによって「動」を強調する「太極拳」となる。そして陳家太極拳なる名称が生み出される。当然のことであるが、張三豊の十三勢を太極拳とした王宗岳の頃には十三勢と易との関係が説かれることはなかった。それが太極拳の陰陽論に、変化を示す易を融合させることで、陰陽つまり太極を変化としての「動」を示すものとして捉え、そこに更には螺旋の動きである纏絲勁が見い出せるとしたのである。こうして陳キンは陳家砲捶の纏絲勁が普遍的な真理であることを証明しようとしたのであった。結果として同じ太極拳といっても陳家と楊家では全く別の「太極拳」であったわけである。またその動きからも分かるが陳家の「動」と、本来の太極拳の「静」の動きの特徴は明確であり、その有する理論も実は全く異なっていたわけである。


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