道徳武芸研究 易と太極拳(7)
道徳武芸研究 易と太極拳(7)
もうひとつ纏絲勁と太極拳を結びつけるものとして「太極双魚図」がある。これは白黒の二匹の魚が互いに追いかけるような姿を示す図で、円環する運動を示している。太極図は周濂渓によって十一世紀頃に世に出る。この時の太極は陰陽が互いに分かれているだけであるが、これが後には二匹の魚が互いに追いかけ合うような運動を示すものとして扱われるようになる。それは八卦の「変化」を強調するもので、それを日月星辰の動きである周天によって見ることができるとする考え方による。陳キンはこれを更に渦巻きの動きと同じものとして捉えようとする。このように陳家「太極拳」としての名称が確立するまでには幾つもの「飛躍」や「付会」を経なければならなかったわけである。また陳キンは技術の説明においても如何に陳家砲捶が「螺旋」の動きで成り立っているかを事細かに説明している。