宋常星『太上道徳経講義』(23ー4)
宋常星『太上道徳経講義』(23ー4)
こうしたことは天地に限るものではない。天地は永遠ではない。それは人においても同様であることは言うまでもない。
天地の道は自然そのものである。寒暖に誤りがなく、どのような時でも円滑に動いている。山河は静かに落ち着いており、万物は育っている。陰陽の二気は盛んで、化して万物となる。「一」なる気が周り、これが化して雨となる。強雨や長雨は天地によるものであるが、その働きが極めて甚だしくなれば、それをまったくの自然であるとすることはできない。そうしたことがどうして長続きしようか。そうであるから「こうしたことは天地に限るものではない。天地は永遠ではない。それは人においても同様であることは言うまでもない」とあるのである。
〈奥義伝開〉人は死ぬ。それが「自然」のことである。そうであるから殊更に死を重視することもない。また生まれるのも同様で、全く特別なことではない。鎌倉時代の明恵は生残、死後はただ一日が過ぎただけである、と言っている。生きている今日も亡くなった明日も、等しく一日が進んだだけというのである。人が死を悲しむのは永遠に生きることができないという現実を見せられるからであろうが、生死は自然のことなので、死は諦めをもって対するより他はなかろう。