道徳武芸研究 ピラミッドパワーと形意三才式(8)

 道徳武芸研究 ピラミッドパワーと形意三才式(8)

八卦拳では始めに体を両儀(上半身と下半身)に分けて、次に四象(四肢)に、そして八卦に分けて、それぞれの体の動きを感じる。ちなみに八卦は内四掌として「心、腎、肝、肺」が示されていて内的な動きを感じる。外四掌は「頭、背、腹、腰」に分けてより微細な体の外面な動きを観察する。これに習熟したなら六十四卦に分ける。六十四卦は「多くに」ということで、套路としては羅漢拳が用いられる。つまり攻防の動きの中で内外の動きを「点」の集合として感じようとするわけである。これと同じ視点に立っているのが太極拳で、太極拳でゆっくり動くのは、点の集合としての動きを観察しやすいからに他ならない。形意拳が八卦掌を取り入れ、太極拳を取り入れたのは、当初の三才式をどのように具体化するかといった問題意識があったからであり、現時点の最も優れた三才式の套路として、しばしば太極拳が練習されている。最後にピラミッドに戻れば、ピラミッドもキューブ形の石を積み上げて形にしている。キューブの石であればいろいろな形のものを作ることができることを示している。これも基本的には微細な分割を行うことで全てが等しいものとなるとする視点といえよう。


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