道徳武芸研究 中国武術の「秘訣」の世界(8)

 道徳武芸研究 中国武術の「秘訣」の世界(8)

王向斉は静坐と練拳の中間に「高い姿勢での馬歩トウ功」を考案した。本来、馬歩トウ功は腰を低くして鍛錬を行うが、それでは長い時間できないので、高い姿勢にして三十分や一時間など長く姿勢を保って静坐の功をも同時に練ろうとしたのであった。しかし、こうした高い姿勢での馬歩では静坐と同じ功を練ることはできない。静坐で最も重要なことは「安定」である。姿勢が「安定」することで心身のリラックスが得られる。ロボット工学などを見ても分かるように二足で立つということはかなり難しい。二足で立つためには心身のいろいろな部位が使われていなければならない。そうしたものを外すにはやはり坐った方が良い。「居敬」やそれにつらなる「舍己」を得るには静坐を行うというのもひとつの方法である。また「従人」は単なる攻防において使われるだけではなく、相手の気持ちや考えを知る方途ともなる。こうしていろいろな拳訣・秘訣を知ることで、その奥深い教えを受け取ることが可能となる。


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